夢を語り、未来に続く「道」をつくる大切さ。Humapマネージャー 奥津直樹さん対談

CEO本保アンテナ

特集 WEBマガジン 明日を、動かす

KONISHIのコーポレートミッションである、「明日を、動かす。」

この言葉に想いを乗せて、コニシ産業株式会社 代表取締役社長の本保敏広が、各業界の有識者と対談を行う「本保のアンテナ」。本保とゲストとの対話から、お互いの価値観や、これからどんな未来(明日)を作っていきたいのかといった前向きなメッセージを、読者の皆さんにも発信していきます。

第7回目となる今回のゲストは、株式会社アスマーク Humap事業グループ マネージャーの奥津直樹さん。

コニシ産業が23年10月に導入し、運用を開始した座席管理ツール「せきなび」を提供する同社。事業責任者としてサービスの立ち上げ・運営を担うと同時に、新規事業の旗振り役としてチームをまとめている奥津さんに、リーダーとしての役割や、組織で働く人の満足度を上げる方法などをお聞きしました。

奥津さんと本保の対談からどんなストーリーが生まれるか……ぜひご覧ください。

社内の課題から、新規事業を担うチームの「船」が動き出す

本保:はじめまして。「せきなび」の導入に関しては担当者同士のやり取りでしたので、お会いするのは初めてですね。本日はよろしくお願いします。まずは御社のことや奥津さんご自身のことを教えてください。

奥津直樹さん(以下、奥津):まず会社についてですが、基幹ビジネスはマーケティングリサーチや(市場調査)を行っています。一般消費者向けの調査事業だけでなく、会社組織の従業員満足度に関わる分野にも貢献できないかと考え、新規事業として2020年にHR Techサービス「Humap」を立ち上げました。このサービスでは、従業員満足度調査やハラスメント防止サービスの他に、御社でも導入いただいた在席&フリーアドレス管理ツールの「せきなび」などを展開しています。

実はこの「せきなび」は、当社が社員数100名を超えた頃にメンバーの管理に限界を感じ、自社内で開発したサービスなんです。私たちの課題感からプロジェクトがはじまり、実際に使って便利だと感じたことから、外部にもサービスの提供を開始した流れです。

また私自身は、前職にて大手旅行会社の法人営業をしており、当社に転職してから5年ほど市場調査事業を担当しておりました。その後、縁あってこの新規事業「Humap」の責任者として、サービス開発や日々のマーケティング活動、Web上のセミナー・イベントの登壇など幅広い活動をさせてもらっています。

本保:もともと会社の中に新規事業を育て立ち上げる文化があったのでしょうか?

奥津:代表が新しいことにどんどん挑戦し、発信をする会社ではあります。ただ新規事業がどんどん展開されているわけではないので、これから育てていきたい文化ですね。「せきなび」も、やっとビジネスモデルとして成り立ってきたところで、御社のようにご活用いただく企業様も増えてきました。

本保:奥津さんは若くして新規事業のマネージャーとしてご活躍されていますが、なかなか簡単なことではないと思います。どのような経緯があって、今があるのでしょうか。

奥津:2020年のGW前、代表から「このサービスを社外に展開したいんだけど、どう思う?」と聞かれました。もちろんやりたいけど、やるなら専属でやらないと……と言ったら、社長が待っていましたという表情で(笑)、GW明け初日にはすぐにプロジェクトがスタートしました。

本保:かなりの勢いを持って立ち上げたのですね。

奥津:そうですね。私としても急だったので、最初は一人だけでしたが、関係各所にすぐに声をかけて、別の部署から2名ほど集めて3名のチームになりました。他の部署の人からしても「えっ?」と思えるくらい唐突だったので、ハレーションも当然ありましたが、それを上回る想いもあったのです。

今まで私たちの基幹ビジネスは労働集約型だったので、従業員が増えないと売上も増えないモデルで、それだと利益や給与も上がりません。新しい事業のカタチに挑戦しようと私も代表も思っていたので、その熱意を社内に伝えて何とか船が動き出しました。

「従業員総活躍」という理念のもとに

奥津:御社も新規事業に力を入れているとお聞きしています。どのように取り組んでいるのでしょうか。

本保:だいぶ昔から新規事業はやりたいと思っていましたが、なかなか着手することができない時代が続きました。既存事業を行いながら、新しく何かに挑戦することは、それだけ難しいことなんですよね。

私が代表になってから手がけたのは、まずは新規事業の準備室を立ち上げること。現在はOA部品の商社という事業の柱がありますが、将来的には事業の柱を2つ3つと増やしていくことを目指しています。

そのため、新規事業準備室の立ち上げを任せたあるマネージャーには「未来をつくるんだ」「パイオニアなんだ」と話していました。例えると、野球の野茂英雄選手のような開拓者のように。

今やアメリカのメジャーリーグで活躍する日本人選手は珍しくなくなりましたが、日本人は通用しないとまで言われた時代に、彼は海を渡って挑戦し、その後ノーヒットノーランを2回達成するなど、みんなに認められる選手になりました。中でも、私が思う彼の一番の功績は、今後に続く日本人選手たちのために“道”を作ったことだと思うんですよね。

当社の新規事業に必要な姿勢もまさにそれで、80年の歴史ある商社の新たなスタートラインに立って道を開拓して欲しいという願いで社員に声をかけました。

奥津:夢を語るって本当に大事ですね。私も今振り返ると、事業を作るうえで最初に夢となる軸、理念を決めました。それが「従業員総活躍」です。綺麗事ではなく、社員一人ひとりが活躍して欲しいし、仕事の時間が人生において結構な割合を占めるので、仕事の時間が充実すれば人生そのものが豊かになると思ったのです。「せきなび」は、サービスを提案する人事や経営者だけではなく、社員全員に役立つツールにするんだということをチームのメンバーには語っています。

本保:当社も以前の経営理念は社会貢献を軸にしていて、それはそれでいい言葉でした。しかし、もっと解像度を高め、まずは身の回りの人を大事にしたいと考え、出会った人たちの想いを乗せて「明日を、動かす」という言葉に変えました。

出会った人の一番目は、社員とその家族。そして、次にお客様や関係する取引先の皆様。こういう周りの人を大事にしたい。私は全ての人を守ることができる万能な人ではないので、ぎゅっと対象を絞ったイメージです。

奥津:社員には、その意思を表明されたのでしょうか?

本保:もちろんです。ホームページにもこの言葉が大きく載っていますし、面談で話すときにも必ず触れます。想いを言い続けること、それが私の大切な仕事です。これだけ混沌としている世の中でも、コニシ産業という船に乗ったファミリーは命を張って守る。そのためにも、この理念を常に心においています。

奥津:どんなときでも理念を言い続けること。とても勉強になります。

「仕事の貢献実感」を得られる環境が大切

本保:奥津さんは、責任のある立場になって働き方や考え方はどのように変わりましたか。

奥津:新規事業の担当者という同じ立場の人が社内にはいないので、最初は孤独と向き合う戦いでもありました。お願いされた仕事をするというより、自分自身でやることをつくらないといけない大変さがあったからです。

サービス立ち上げ当初は売上も何もないので、会社の他の部門の皆さんにご飯を食べさせてもらっている立場を理解した上で、この事業は価値のあることだからという使命感を持って乗り越えていましたね。ただ、もちろん自分一人で事業推進はできないので、各方面に力を貸してくださいとお願いしながら仕事を進めておりました。

本保:当社の新規事業担当者から、『新規事業に関わる前は営業として年間何億と売上を作っていたのがゼロになりました。それが苦痛だった』と本人から聞きました。私は何をやっているんだ、と。今は事業の芽が出てきているので、そのステージからは脱していますが、立ち上げ当初は誰でも産みの苦しみがありますよね。

奥津:ほんとそうですね。

本保:奥津さんは組織の課題を直接お客様から聞くことも多いと思いますが、新規事業に関わらず社員が活躍するために企業はどんなことを意識した方がいいのでしょうか?

奥津:私たちは従業員満足度調査も提供しておりますので、そのベンチマークとして、毎年1万人の会社員に対して従業員満足度のベンチマーク調査を実施しています。そこでわかってきたのは、満足度を高めるのに一番大事なのは「仕事の貢献実感」を得られる環境であること。2番目が「ロイヤルティー」いわゆる会社への愛着ですね。その後に「給与」「キャリアビジョン」と続きます。

本保:なるほど、貢献実感ですね。

奥津:本保社長はもともと採用も行う管理部門の部長だったと聞いています。従業員満足度を高める働きかけが自然とできているのかなと勝手な想像をしています。

本保:当社も退職者がゼロではありません。何か不満があるから辞める、その不満はなんだろうと考えたとき、昔は給料に納得がいかないなどの理由かなと思いました。実際、それもあるかもしれませんが、毎年給料を上げているので、今は何だろうと。奥津さんがおっしゃっていた貢献実感は1つ、そうだなと感じました。

商社の仕事は、今日やっていることが3年後、5年後の売上や利益につながることも多く、日本で取り組んだことが海外で成果を上げることもあります。自分の仕事の成果が、時間や場所に、すぐに直結しないジレンマがあるのです。

奥津:貢献感をダイレクトに得られない、と。

本保:そこで、近年1つ取り組んだのがスノーボード大会の協賛活動です。大会当日、スキー場で物品の販売などを社員自ら手がけるのですが、工夫次第で感謝のリターンが瞬時にかえってきます。この感覚をわかってもらうために始めたのですが、結果的に自分は価値のある人間なんだという満足度を高めたり貢献感を得ることが多少なりともできたのかなと思っています。

奥津:常に新しいことに挑戦する姿勢が素敵ですね。従業員に関わるアンケートは、組織の健康診断だと私は思っています。自分たちの身体と一緒で、実態を把握し、悪いところがあったら処方して改善していくことが必要ですし、強みがわかればそれを活かしていくこともできますよね。また、多くの会社の平均スコアがわかれば、世の中の会社と比べて自社のどこを改善していけばよいのか、目指すべき指標がわかるのも大切なのかなと思っています。

「ワクワク」を軸にした挑戦を

本保:今回は組織やリーダー論について対話できましたね。奥津さんのこの先の夢があれば教えてください。

奥津:会社は2023年12月4日付で東京証券取引所スタンダード市場へ上場しました。こういった経験ができるのは運が良いことですが、私自身も上場企業の役員や関連会社のトップを目指したいです。上の立場になれば、今の私のポジションが空いてメンバーもキャリアアップできますし、むしろ追い越す勢いで来て欲しいですね。今回の対談を経て、社内のメンバーに夢を言い続けられていないなと感じたので、あえて言わせていただきました。

本保:素晴らしい。明確なビジョンがあると実現しますよ。上場されると、いろいろな人からの注目度があがり、人材も加わってくるので、事業もいろいろ拡がりそうですね。

奥津:私自身が上場のために何か貢献できたかというとそうでもないのですが、これから当社が新規事業を作れる会社なのか否かといった社外からの評価も株価へ影響すると思っています。そのため、社長に言われるまでもなく自分たちも会社に貢献するぞという気持ちが高まっています。

本保:私は社長経験者なので、その上での発言ですが、経営を1回やってみると面白いですよ。リスクもあるし孤独感もある、ときには一人で全部背負わないといけないこともあります。ただ、それ以上に得るものがあるはずです。

奥津さんはまだ若いですが、経営に関わる想いもありますか?

奥津:経営トップに立って組織をつくりたいという思いはあります。もともと20代は生き急いでギラギラしていて、サッカーで挫折を経験しプロにはなれなかったのですが、サッカー選手に人生そのものでは負けないぞと目の前の仕事に必死になりました。そうしたら、社内の新規事業をやらないかという話が出てきたので、一生懸命仕事をしていればキャリアの方から機会がやってくると感じました。今は、300名くらいいる組織の異端児かもしれません。それでも、会社の成長に貢献できる実感を得ながらさらに上を目指し、一人でも幸せな人を作りたいと思っています。

本保:とても明確ですね。本当に自分の思い通りの人生を歩みたかったから、トップを経験するのが早い。決めたのは全部自分となる、そういう自己実現の仕方もあります。

奥津:なりたい自分になるのは大事ですね。

本保:中には目立たなくてもいい、私は裏方でいいという方もいますし、トップを無理強いするわけではありません。ただ、自分の人生なので、仕事でもプライベートでも主役でやってもらいたいだけなんです。

奥津:そういう考えの社長のもとで働ければ、自分自身も挑戦できるのかなとワクワクしそうです。

本保:そう!私は「ワクワク」という言葉が大好きなんです(笑)。何年前でしたか、新規事業の企画発表後に、「内容はいいけど、ワクワクしない」とコメントしたことがありました。その後の発表から、とてもワクワクする内容に変わったんですよね。売上の数字などにとらわれず、こうなったら面白くなるのではないかというワクワク感はとても大事です。

奥津:数値化はなかなか難しいかもしれないですが、そういった雰囲気作りは絶対大事ですよね。今回、本保社長の組織や経営に対する考え方をお聞きできてとても勉強になりました。

本保:この「本保のアンテナ」は、私がありとあらゆる業界のありとあらゆる年齢性別関係ない方々と対談しているのですが、今回は「せきなび」というツールが、奥津さんと貴重なご縁をつないでくれました。

奥津:今後も私たちが協力できることがあると思うので、引き続きよろしくお願いします。

本保:ありがとうございます。よろしくお願いします。

※株式会社アスマーク様のHPにて、コニシ産業の「せきなび」導入事例記事も掲載しています。ぜひ、ご覧ください。